ライ・クーダー/弱い者への眼差し<2005.9.4> [音楽]
2005.9.4
ライ・クーダー の名は
「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」
で再び大きな脚光を浴びた。
この作品の素晴らしさは
今更言う事もないだろう。
そしてあれから5年。
彼の新作が本当に久しぶりに発売された。
ソロとしては15年ぶり。
前作の「Get Rhythm」は
" Going Back to Okinawa "という
大好きな曲が入っていて
聴きまくったけれど,
新作はライの真髄ともいえる
明確なテーマを掲げてきた。
「Chavez Ravine」/チャヴェス・ラヴィーン
1950年代にロサンゼルスにやってきた
ドジャース 球団の為の球場を造る為に
強制的に立ち退かされた
貧しいメキシコ人達の町の名前。
こんな隠された事実があったんだね。
そこに住んでいた人達をテーマに
15曲のストーリーがちりばめられている。
" 3rd Base, Dodger Stadium "
「ちょうど3塁ベースのあたりが俺の家だったんだ」
という歌は,のどかだけど泣かせるなぁ。
音楽は強烈に明るく力強くそして
余韻は何処までも切ない。
弱い者への眼差しが
音楽とあいまって突き刺される。
「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」にも
決して劣らないラテンミュージックの一方の雄,
チカノミュージックをここまでクリアに
浮き彫りにさせてくれた意味はとてつもなく大きい。
ギターも久しぶりに弾きまくってくれて
ファンにはたまらないサービス。
またまたしばらく釘付けになりそうだなぁ。
ジャケットはかなり過激。戦車で住宅を踏み潰す光景は
今のアメリカ自体の象徴ともいえる。凄いメッセージだな。
好きな曲は今のところ" Chinito Chinito "と" 3 Cool Cats "
ここで4曲フルで視聴出来ます。
私にとってのRy Cooderは74年の"Paradise & Lunch"に始まり、"Chicken Skin Music"を経て、"Jazz"で止まってしまってました。そして"Buena Vista Social Club"のプロデュースでまた復活しました。
3枚のアルバムしか聴いていないので、あまり大きなことは云えないのですが、いつも思うのは、アメリカンミュージックをRy流に料理したというか、それが常に学究的といおうか、最初はイージーに聞き流そうと思ってかけていても、いつまにか没入してしまってる自分がいたりします。
"Paradise & Lunch"の一番最後の"Detty Wahha Detty"なんてEarl HinesのPianoと二人で駆け引きしながら演奏しているようでスリル感も感じます。
日本では有山じゅんじ氏が"ディディ・ワ・ディディ"というタイトルで演奏してますが、これはこれで有山流がプンプンしていて好きです。
by ikki (2005-09-05 16:45)
ライ・クーダーの新作、最高ですね!!というか、どのアルバムも素晴らしいのですが・・・。純然たるソロ作としては「Get Rhythm」以来なんですね。そういえば、あの時の来日公演は珍しく大所帯で弾きまくってたなあ・・・(懐)。
アメリカン・ルーツ・ミュージック以外にも様々なジャンルを消化し聴かせるライ・クーダーには、毎回ノックアウトされます。サントラも素晴らしいし・・・。「PARIS,TEXAS」のサントラのギターなんか、いつ聴いても鳥肌ものです!
ライ・クーダーほどミュージシャンズ・ミュージシャンという言葉がピッタリの人もいませんよね・・・。そういう意味だと私の中で常富さんもかなりイメージが近いのですが!
by jiji2号 (2005-09-05 22:06)
Ry Cooderをこういうアーティストだと表現する事は難しいですよね。今の時代では出てくることもなかったような人でしょう。ただヒットチャートやエンターテインメント中心ではない音楽の脈流を,ずっと守り続けてくれたという功績は計り知れないし,この人が様々なミュージシャンに与えた刺激は想像すら出来ないくらいでしょうね。トム・ウェイツにも近いところにいたけれど,映画音楽に対する功績も大きいね。ikkiさんのように"Paradise & Lunch"を最高という人,多いですね。
by tzneyan (2005-09-06 11:21)
jiji2号さんもやっぱり!耳肥えちゃってるね。"Buena Vista Social Club"のカーネギーホールでの観客席を見てやっぱりいい音楽に対する人の感動の仕方って理屈がないなと....。そう久々に感じさせてくれた Ry Cooder に心から感謝したかったんだよね。それは新作を買うことだと。やっぱり泣かされたね。僕がイメージが近いとは?!...それは単に追っかけだからですよ。あんなふうに楽器が弾けたらいいね!!!ハートもね。
by tzneyan (2005-09-06 11:31)
「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」は、おけいさんがお好きな映画のひとつだと知りまして、DVDで観ました。ライ・クーダー氏のキューバのミュージシャン達に向けた優しく幸せに溢れた眼差しが忘れられません。年齢を重ねてなおパワフルで情熱溢れるミュージシャン達のステージも感動致しました!一時でも「忘れられた人々」になっていたなんて信じられません。1枚のアルバムの重さを感じました。
ライ・クーダー氏の新アルバム、ソロでは15年振りなのですか!CDショップでこのアルバムを探していましたら、ローリング・ストーンズの新アルバムもならんでいまして、こちらは8年振りとか。ファンにとっては待ちに待った待望の・・!という感じですね。
by キミ (2005-09-07 01:30)
考えてみればあの映画「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」からもう三人亡くなってしまった。ルベーン・ゴンザレス(Ruben Gonzalez),コンパイ・セグンド(Compay Segundo)そしてイブライム・フェレール(Ibrahim Ferrer)が先月。ライはよく創ってくれたなぁ。
by tzneyan (2005-09-07 02:21)
やはり・・そうでしたか。間に合って良かったって、改めてそう思います。皆さん「いま6人目を子作り中」だとか「英語を覚えたい」だとか。楽しそうに未来を語る姿も印象的でした。幸せそうでした。このアルバムや映画がなかったら、私なんてキューバ音楽なんて一生出会わなかったかも知れません。コンパイ・セグメントさんの歌声とギターにちょっとグッときてまして・・。自分の音楽の好みを新発見(@@)!この出会いに感謝です。
by キミ (2005-09-07 03:00)
キミちゃんも間に合って良かったね。世の中には一生かかっても聴ききれないほどいい音楽いっぱいあるんだけど見つけるのは大変です。誰かの助けを借りないとね。
by tzneyan (2005-09-08 09:10)