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大川さん [音楽]

  2008.1.16         

  カメラマンの 大川奘一郎 さんが亡くなった
   まだ六十歳だった
    僕達"猫"がデビューしてまもなく
     ジャケット写真を撮ってくれた田村仁さんに
      すごくいいカメラマンがいるよと紹介された
       小さく華奢な体にぎっしり詰まったカメラバッグを肩から下げ
        走り回るという撮影スタイルに
         僕らは親しみと可愛らしさを同時に感じ
          撮影後のお酒が毎回楽しみになった
           当時は中古の赤いHonda S600が愛車で
            その体にもぴったりだったね
             べろべろに酔っ払って乗って帰るなんていう事が
              多々あった時代だった

  僕が猫解散後, フォーライフレコードに参加し
   プロデュース業務を始めた時
    吉田拓郎の次に任されたのが杏里だった
     まだ16歳の少女で
      全てにおいてピュアそのものだった
       アルバムデビューというラインが敷かれ
        しかも録音場所はアメリカは西海岸のLA
         旅行では行った事があったものの
          いきなり新人デビューのプロジェクトの責任者の重みは
           いくらずうずうしい僕にでさえも堪えた
 
  そんな僕を援けてくれたのが
   サウンドプロデューサーの瀬尾一三
    そしてカメラマンとして海を渡ってきてくれた 大川さん だった
     録音の目途がつき撮影を残すのみになった
      ロケーションはサンタモニカのビーチが選ばれ
       夏とはいえ寒流の入ってくる海からの風は
        陽が落ちるにつれ冷たくなる
         はしゃいで撮られていた杏里自身も
          黄昏れていく空気の中でふと少女から
           これから旅立つ一人の女性としての顔を見せてくれた
            そんな一瞬を 大川さん は見逃さなかった

  その写真はデビューアルバム「Apricot Jam」の表裏と
   シングル「オリビアを聴きながら」のジャケットになった
    いまは名曲として誰にでも認知されているこの曲が
     何処からか流れてきた時にきっと僕は
      そのシーンを思い出すんだろう
       杏里と 大川さん が駆け抜けた
        1978年夏の西海岸の海辺を...

  今日行なわれたお別れの会は
   ずっと彼に写真を委ねてきた長渕剛が仕切ってくれた
    それは実に素晴らしいものだった
     音楽家魂というものが有るのだとすれば
      こんな時にこそその想いを知ることが出来る
       高節, 正やん, イルカ, 細坪君, 沢田聖子, 瀬尾ちゃん, 島ちゃん...
        皆それぞれの言葉や歌で送った
         長渕剛が自らのバンドを率い
          天まで届けと声高く歌った
           そして最後に拓郎から届いた言葉は
            まるで彼の歌のように
             皆の胸に突き刺さった...

                            大川.jpg
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コメント 15

☆

河合徹三兄ぃのブログで知り、まだあちらの世界に行くのは早過ぎるんちゃうかと思いました。
近年こんな話が多くなり、あちらの世界がどんどん賑やかに・・・。
拓郎さんの海外録音のジャケットも大川さんでしたね。
ご冥福をお祈り申し上げます。
by (2008-01-17 06:35) 

山猫

若すぎますね・・・。
いい作品を残された方の、その感性を永遠に見守っていきたいです。
作品は永遠に生き続けていきますもの。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
by 山猫 (2008-01-17 07:58) 

tzneyan

 あの時代の開拓者の一人だったね。内の表情を捕らえるのは技術じゃないからね...。大川さんの生き方に皆惚れたんだね。心を許すということなのでしょう。そういうことを伝えていけたらと思います。 ☆ さん,ありがとう。
by tzneyan (2008-01-17 11:38) 

tzneyan

 山猫さんも,Tさんのあらゆる場面で彼の写真に触れてきたと思います。代弁者だったかも...。これからも様々な現場で,大川さんが撮ったらどうなるかな...そんな会話が聞こえてきそうです。
by tzneyan (2008-01-17 11:42) 

sekko

カメラマンの大川さんのこと、初めて知りました・・・

私がレコード店に勤めていた時に、杏里さんがデビューしました。
当時、「オリビアを聴きながら」のジャケットを見たときの印象、今でも強く残っています。美しくて可愛い、可愛いのに大人っぽい、美しいメロディーと杏里さんの声とジャケットの表情がすごくあっていて、よく聴いたものです。

そのジャケットの向こうに、こんな素敵なドラマがあったのですね!
大川さんの御冥福をお祈りいたします。
by sekko (2008-01-17 18:58) 

tzneyan

 30cmLPレコードの時代は,写真の役割は今に比べて格段の意味があったからね。杏里の次のアルバムも大川さんに撮ってもらいました。今度は彼女の地元,三浦の海辺でした。sekkoさんも手に取っていたのですね。何かの写真で撮影"大川奘一郎"とあったら,思い出してくれればいいね。
by tzneyan (2008-01-17 21:39) 

常盤流太ことsei1

タムジンさんと並んで、大川さんのお名前は、拓郎をはじめとしてフォーク系アーティストのレコードジャケットのクレジットでよくお見かけしておりました。
残念ですね。御冥福を祈ります。
by 常盤流太ことsei1 (2008-01-18 01:47) 

tzneyan

 タムジンも送る会に来ていて,声をかけたのだけれども,さすがに寂しそうだったな。盟友だったのでしょう。みな大川さんの優しさに心を癒された人たちばかりでした。常盤流太ことsei1さんも,クレジットを見たら想い出して下さい。
by tzneyan (2008-01-18 02:33) 

ツエコ

今はクリックひとつで曲が手に入る時代。でも昔はレコードジャケット手に取って購入するのに迷ったり〜また好きなアーティストのLPジャケットは部屋に飾ったりしたものです。
大川さんに「見せた」杏里さんの表情…すでに曲としてのイメージはあった自分には色々な想像をかきたてられたジャケット写真でしたね。その後、杏里さんを等身大の曲として聴き続けて来た間接的なきっかけとなっていたのですね。
今頃になって、作品のスタッフや参加musicianに気付くことも多いのです。知ることができた時にはもう空の星…ちょっと淋しいですけどね。長渕さんの歌も皆さんの言葉も届いたことでしょう!
教えていただきありがとうございました。
by ツエコ (2008-01-18 15:36) 

tzneyan

 昔はよくジャケ買い(中身は聴かず,ジャケットが気にいって買う)をしたもんだね。ネット販売だと写真データーがくっついているという感じかな。CD化でも寂しかったけれどね。そもそもクレジット自体もそう重要じゃなくなっているような...。創る想いなどさして重要じゃなくなったのかな。ということでツエコさん,気に留めてくれてありがとう。
by tzneyan (2008-01-18 16:18) 

Max

初めて書き込みをさせて頂きます。

大川さんの作品でインパクトが強かったのが
拓郎さんのアルバム「大いなる人」でした。
表参道に有った「プレイバッハ」での撮影だったと記憶しています。
TAMUJINさんとは又別の味わいを持ったフォトグラファーでいらっしゃいました。
遅ればせながらご冥福をお祈り申し上げます。

私事ですが、78年頃、小生もL.A.に住んでおりました。
常やんの「二人が駆け抜けた・・」と言う文を読み
改めて時の流れの速さと重みを実感致しました。
by Max (2008-02-09 12:26) 

tzneyan

 Maxさん,ありがとう。拓郎の「大いなる人」のジャケットは大川さんではなくて,横須賀功光です。やはり残念ながら5年前にお亡くなりになりました。広告業界,ファッション業界では圧倒的に素晴らしい業績を残した人ですね。拓郎と皆とでグラスを交わしながら,高感度のフィルムを入れたコンパクトカメラで撮った記憶があります。タバコの燃える火が綺麗に撮れていたのを思い出します。
by tzneyan (2008-02-09 13:47) 

Max

常やん、ご指摘有難う御座いました。
「大いなる」勘違い、でした。
大川さん、お許し下さい。
横須賀さんにもお詫び申し上げます。
by Max (2008-02-09 14:21) 

亜矢子

昨夜、尾崎亜美さんが出演された「SONGS」という番組を見ました。
その中で、杏里さんの「オリビアを聴きながら」のジャケットも紹介され、その写真の力強さに息を飲み、“一瞬で”心奪われました。

「この写真はいったい誰が撮ったのだろう…」
…そしてこちらにたどり着きました。

大川さんのことは存じておりませんでしたが、30年前のたった一枚の写真が、こんなに胸に突き刺さるなんて…。
当時の撮影秘話なども教えていただきありがとうございました。

大川奘一郎さん…ご冥福をお祈り申し上げます。

by 亜矢子 (2009-05-14 15:49) 

tzneyan

 亜矢子さん,久々に大川さんのことを思い出す機会をくれてありがとう。
瞬間的に出会った頃の事を思い浮かべて思わず笑ってしまうんです。
可愛い人でした。

by tzneyan (2009-05-15 02:50) 

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